防風通聖散など漢方の市販薬と体重

マンジャロ.tokyo編集部|最終確認 2026-10-01

ひとことで
  • 防風通聖散などの漢方の市販薬は、一般用医薬品(第2類)です。効能に「肥満症」が入っています。
  • ただし効能には、「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」のような体質の条件がついています。誰にでも合う薬ではありません。
  • まれに起きる重い副作用として、間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症が添付文書に書かれています。
  • 試験をまとめた解析では、BMIの差は−0.52と小さく、研究の数と質にも限界があります。

効能の書き方は、国の承認基準で決まっている

漢方の市販薬の効能は、国の「一般用漢方製剤製造販売承認基準」(2017年3月28日の通知)で処方ごとに決められています。体重に関わる主な3つの処方は、次のとおりです。

処方承認基準の効能(原文)
防風通聖散体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症
大柴胡湯体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの次の諸症:胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症
防已黄耆湯体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)

どの処方も、「肥満症」の前に体質の条件(漢方でいう「証」)がついています。体力の条件も、防風通聖散と大柴胡湯は「充実」、防已黄耆湯は「中等度以下」と分かれています。

防風通聖散は、大黄・芒硝・甘草・麻黄・山梔子など18の生薬を組み合わせた処方です。製品名が似ていても、中の処方が違うことがあります。箱に書かれた処方名を確かめてください。

古い効能の書き方と、医療用

2017年の基準より前の書き方の製品もあります。PMDAに載っている一般用の防風通聖散料の添付文書では、「腹部に皮下脂肪が多く,便秘がちなものの次の諸症」で始まり、高血圧の随伴症状、肥満症、むくみ、便秘が並んでいます。

同じ処方は、医師が処方する医療用にもあります。ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)の効能も、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」が前提です。医療用は承認された効能の範囲で保険が使えます。市販の一般用には保険は使えません。

医療用の電子添文で、薬の働きの欄に載っているのは、肥満のマウスに混ぜて与えて体重の増え方がおさえられた、という動物の試験だけです。

まれに起きる重い副作用

防風通聖散の市販薬の添付文書には、まれに起きる重い症状として、次の5つが書かれています。

副作用どんな状態か
間質性肺炎肺の壁に炎症が起き、息切れや空ぜきが出る
偽アルドステロン症体に塩分と水がたまり、血圧が上がったり、むくんだり、力が抜けたりする
ミオパチー筋肉の力が落ちる
肝機能障害肝臓の働きが落ちる
腸間膜静脈硬化症腸の静脈が硬くなる。長く飲むと、腹痛・下痢・便秘・おなかの張りが繰り返し出る

大柴胡湯の製品で書かれている重い症状は、間質性肺炎と肝機能障害の2つです。防已黄耆湯は、間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害の4つです。

医療用の防風通聖散では、腸間膜静脈硬化症で「腸管切除術に至った症例も報告されている」と書かれています。

山梔子と腸間膜静脈硬化症(2018年2月13日の改訂)

2018年2月13日、国は山梔子(サンシシ)を含む漢方の使用上の注意を改めるよう指示しました。腸間膜静脈硬化症が加わりました。

医療用の電子添文は、山梔子を含む薬を長く使うと(多くは5年以上)この病気が起きるおそれがあるとしています。定期的なCTや大腸内視鏡の検査が望ましいとしています。

そのほかの改訂の日付

日付内容
2001年9月19日一般用の大柴胡湯など16処方に肝機能障害を追加
2003年1月8日防已黄耆湯に肝機能障害・黄疸
2004年4月1日防風通聖散に間質性肺炎(医療用は重大な副作用、一般用は相談すること)
2005年4月1日防已黄耆湯に間質性肺炎
2018年2月13日山梔子を含む製剤に腸間膜静脈硬化症

飲む前と、飲んでいる間の注意

飲む前に相談する人として、医師の治療を受けている人、妊娠している人、体の弱い人、胃腸が弱く下痢しやすい人、汗をかきやすい人、高齢の人、むくみや尿の出にくさがある人、高血圧・心臓病・腎臓病・甲状腺の病気の診断を受けた人が挙がっています。

体重への効果は、試験でどこまでわかっているか

体格の条件に合う人の肥満症などが効能です。試験でのBMIの差は小さく、研究の数と質に限界があります。「おなかの脂肪が落ちる」と言える根拠にはなりません。

「痩せる」とうたう食品への措置

防風通聖散を含む医薬品に対して、景品表示法の措置命令や薬機法の課徴金が出た例は、調べた範囲では見つかりませんでした。

一方、痩身をうたう食品には措置が出ています。2017年11月7日、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンを使った機能性表示食品の販売業者16社に措置命令を出しました。「当該商品を摂取するだけで、誰でも容易に」おなかの痩身効果が得られるかのように示す表示だと認定されています。2018年1月19日には、9件の課徴金納付命令(592万円〜4893万円)が出ました。

機能性表示食品は医薬品ではありません。機能性表示食品でも、摂るだけで体型が変わるかのような表示は、景品表示法に違反すると判断された例があります。

質問と答え

防風通聖散は、誰が飲んでも脂肪が落ちますか?

いいえ。効能には「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」という体質の条件があります。試験をまとめた解析でも、BMIの差は−0.52と小さいものでした。

漢方なら副作用の心配は少ないですか?

そうとは言えません。添付文書には、間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症が、まれに起きる重い症状として書かれています。息切れ、むくみ、力が抜ける、腹痛や下痢が繰り返すなどがあれば、飲むのをやめて相談してください。

長く飲み続けてもいいですか?

添付文書は、1か月ほど飲んでもよくならなければやめ、長く飲み続ける場合は相談するよう求めています。山梔子を含む薬を長く使うと(多くは5年以上)、腸間膜静脈硬化症のおそれがあるとされています。

下剤と一緒に飲めますか?

防風通聖散を飲んでいる間は、ほかの下剤(瀉下薬)を飲まないこととされています。便秘の薬を足したいときは、薬剤師か登録販売者に相談してください。

このページの根拠(原文を開いて確かめた資料)
  1. 一般用漢方製剤製造販売承認基準について(薬生発0328第1号)(2017年3月28日)
  2. 防風通聖散料 添付文書(一般用医薬品・東洋漢方製薬)|PMDA(2026-10-01確認)
  3. ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)電子添文(2023年12月改訂 第1版)|KEGG(2026-10-01確認)
  4. 使用上の注意の改訂(山梔子を含む製剤に腸間膜静脈硬化症)|PMDA(2018年2月13日)
  5. 山梔子含有製剤の調査結果報告書|PMDA(2018年)
  6. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.351|厚生労働省(2018年3月)
  7. 使用上の注意の改訂(大柴胡湯などに肝機能障害)|PMDA(2001年9月19日)
  8. 使用上の注意の改訂(防已黄耆湯に肝機能障害・黄疸)|PMDA(2003年1月8日)
  9. 使用上の注意の改訂(防風通聖散に間質性肺炎)|PMDA(2004年4月1日)
  10. 使用上の注意の改訂(防已黄耆湯に間質性肺炎)|PMDA(2005年4月1日)
  11. Uneda K, et al. 防風通聖散のメタ解析. PLoS One. 2022(要旨)(2022年)
  12. Hioki C, et al. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2004;31:614-9(要旨)(2004年)
  13. 景品表示法に基づく法的措置件数の推移|消費者庁(2026-10-01確認)

ここに書いているのは公的な資料の要約です。あなたの体に合うかどうかの判断はできません。使い始める・中止する・量を変える前に、処方を受けた医師か薬剤師に確かめてください。医療機関の紹介や薬の販売は行っていません。