マンジャロはどんな薬? 承認の範囲と使い方の決まり
- マンジャロの成分はチルゼパチドです。承認の日付は2022年9月26日で、認められた病気は2型糖尿病の1つだけです。
- 同じチルゼパチドを肥満症などの薬として別に承認したものが、ゼップバウンドです(2つの違い)。
- 美容や痩身のための使用について、国と学会は「安全性と有効性が確かめられていない」として注意を呼びかけています。
Q1. どんな病気に使う薬として認められている?
電子添文の「効能・効果」に書かれているのは、2型糖尿病だけです。
さらに、使う前の前提も決まっています。食事療法と運動療法は糖尿病の治療の土台です。それを十分に続けても効果が足りない人に限って、この薬を考える、という書き方です。
発売は2023年4月でした。このときは2.5mgと5mgだけで、7.5mg以上の4つの規格は同じ年の6月に出ています。
Q2. 体の中でどう働く?
食事をとると、小腸からGIPとGLP-1という2種類のホルモンが出ます。マンジャロは、この2つのホルモンの受け皿(受容体)の両方に結びついて働く薬です。分類の名前は「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」です。
電子添文によると、血糖の高さに応じてインスリンが出るのを助けます。また、食べたものが胃から腸へ進むのをゆっくりにする作用もあります。
オゼンピックやウゴービの成分(セマグルチド)は、GLP-1の受容体だけに働きます。ここが、成分の上での一番の違いです(ほかのGLP-1系の薬との違い)。
Q3. 製品の形と、薬としての区分は?
| 項目 | 電子添文・公式の説明 |
|---|---|
| つくる会社・売る会社 | 製造販売元は日本イーライリリー、販売元は田辺ファーマ |
| 区分 | 劇薬で、医師の処方が必要な処方箋医薬品 |
| 規格 | 2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6種類 |
| 注入器 | 1回で使い切るペン型の「アテオス」。空打ちはしません |
| 打つ場所 | おなか・太ももの皮下。操作の訓練を受けた人の手助けがあれば二の腕の後ろ側も。毎回少し場所をずらします |
| 保管 | 冷蔵(2〜8℃)で光を避け、凍らせない。室温なら30℃以下・外箱のままで21日以内 |
打ち方や保管のくわしい決まりは打ち方・保管・打ち忘れにまとめています。
Q4. 量はどう決まっていく?
最初の4週間は、週に1回2.5mgを打ちます。これは体を慣らすための量です。5週目からは週1回5mgに上げ、この5mgが基本の量(維持用量)になります。
5mgで効果が足りないときは、医師の判断で2.5mgずつ上げられます。上げるたびに4週間以上あける決まりで、いちばん多くても週1回15mgです。
電子添文は、量に応じて体重が減ることも書いています。そのため、量を上げるかどうかは体重の減り方にも気をつけて決めること、減りすぎたら量を下げるか中止を考えることを求めています。また、使い始めのBMIが23未満の人については、効き目と安全性が調べられていません。
打つ曜日は毎週同じにします。打ち忘れたときは、次の予定日までの残り時間で決まります。
- 残りが72時間(3日)以上:気づいた時に打ち、その後は元の曜日に戻す
- 残りが72時間より短い:その回は打たずに、次の曜日に打つ
- 2回分をまとめて打つことはしない
Q5. 打ってはいけないのはどんな人?
電子添文の「禁忌」は、次の3つのまとまりです。
| まとまり | 当てはまる人・場面 |
|---|---|
| 過去の反応 | チルゼパチドなど、この薬の成分で過敏症が出たことがある |
| 糖尿病の状態 | 1型糖尿病/糖尿病性ケトアシドーシス/糖尿病性の昏睡や前昏睡 |
| 急な場面 | 重い感染症があるとき、手術などの緊急のとき |
副作用の全体はマンジャロの副作用、使っている間に気をつけることは使っている間の注意で扱っています。
Q6. 妊娠・避妊・手術の予定があるときは?
- 妊娠中・妊娠の可能性がある:この薬は使わず、インスリンに切り替えます。動物(ラット)の実験で胎児への害が見られたためです。
- これから妊娠の可能性がある:使っている間と、最後に打った日から1か月間は避妊が必要とされています。
- 授乳中:母乳に移ることがあります。続けるか、授乳をやめるかは、医師と相談して決めます。
- ピル(飲む避妊薬):始めたばかりの時期と、量を上げてすぐの時期は、ピルの効き目が落ちるおそれがあります。
- 全身麻酔・深い鎮静:胃に残った食べ物を肺に吸い込んだ例が報告されています。手術や内視鏡の前には、この薬を使っていることを伝えてください。
- ゼップバウンド:成分が同じなので、両方を一緒に使うことはしません。
Q7. 「体重が減る」という話はどこから来ている?
電子添文の副作用の表では、食欲が落ちる「食欲減退」が5%以上の区分に入っています。体重減少も1〜5%未満の区分に載っています。
日本人の2型糖尿病の人が52週使った試験では、体重が5mgで5.8kg、10mgで8.5kg、15mgで10.7kg減りました。比べた薬(デュラグルチド)の人たちは0.5kgの減少でした。
これは2型糖尿病の治療として使った人の結果です。糖尿病のない人が痩せるために使った場合の数字ではありません。ほかの試験の数字は体重の試験の数字で条件とあわせて並べています。
Q8. 痩せる目的の使用に、国や学会は何と言っている?
厚生労働省は2026年6月16日に通知を出しました。美容や痩身のために使っている医療機関があると確認したうえで、承認外の使い方は思わぬ有害事象で健康を損なうおそれがある、としています。
日本糖尿病学会と日本肥満学会も、美容・痩身・ダイエットのための薬ではないという立場を示しています。
もう1つ大事なのが、健康被害が出たときの公的な救済です。厚生労働省は、美容や痩身のために使って重い被害が出た場合、医薬品副作用被害救済制度の給付は受けられない可能性が非常に高いと説明しています。また、SNSなどで個人どうしが売り買いするのは違法です(個人輸入・SNS売買の危険・承認外の使い方への注意)。
質問と答え
錠剤で飲むタイプはありますか?
ありません。マンジャロは皮下に打つ注射だけで、週に1回、使い切りのペン(アテオス)で打ちます。
ゼップバウンドとは別の成分ですか?
どちらもチルゼパチドが成分で、中身は同じです。違うのは承認された病気で、マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは条件つきの肥満症などです。それぞれ別の臨床試験で確かめられています。比べた表はゼップバウンドとの違いにあります。
2026年9月の改訂では何が加わりましたか?
「その他の注意」に、GLP-1受容体作動薬を使った後、目の神経の病気(非動脈炎性前部虚血性視神経症、NAION)が増える可能性を示す観察研究などの報告が加わりました。因果関係は明らかになっていないと書かれています。
- マンジャロ皮下注 電子添文(2026年9月改訂 第11版)|PMDA(2026-09-29確認)
- マンジャロ皮下注 患者向医薬品ガイド|PMDA(2026年6月更新)
- マンジャロの使い方(アテオス)|日本イーライリリー(2026-09-30確認)
- GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について(通知)|PMDA(2026年6月16日)
- マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください|厚生労働省(2026年6月)
- 医薬品・医療機器等安全性情報 No.406|厚生労働省(2023年12月)
- GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解|日本糖尿病学会(2023年11月28日改訂)
- 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント|日本肥満学会(2025年4月10日改訂)
ここに書いているのは公的な資料の要約です。あなたの体に合うかどうかの判断はできません。使い始める・中止する・量を変える前に、処方を受けた医師か薬剤師に確かめてください。医療機関の紹介や薬の販売は行っていません。